韓国出張報告

日時 2001年6月29日−6月30日

場所 韓国 ソウル

目的 Democracy Forum: Political Finance and Democracy in East Asia: The Use and Abuse of Money in Campaigns and Elections, A Conference Organized and Cosponsored by the Sejong Institute & National Endowment for Democracyに出席

費用 旅費は主催者から支給

便宜供与 無し

日程

6月29日 ソウル着

6月30日 カンファレンス(本来ならば28日から開会されているが、国会会期のため最終日のみ参加)

9:30−12:30  選挙費用、政治資金の報告と透明性について

14:00−16:45 政治資金をもっと民主的なものにするための改革について

ソウル発

 

特記事項 

選挙とお金をめぐっての議論で、各国の政治家、選挙管理委員会、学者、NGOなどが一堂に会し、非常に興味深い会議だった。韓国のNGO、ジャーナリストが総選挙で選挙費用の上限を超えた候補者がいるとの報告があったのに、なぜ、選挙管理委員会は、調査しなかったのかと問題提起され、韓国の選管の委員長がそれに答える場面など、実際に選挙と金に関する活動にたずさわっている関係者の集まりであることを強く認識させた。

選挙費用に関するルールが破られても、問題にならないのは、選挙管理委員会の人員の問題なのか、元々そういう意思がないのか、あるいはルールが最初から非現実的なのか(日本の公職選挙法がよい例か?) をめぐっての議論があり、出席していた各国の選挙管理委員長のコメントがあった。各国のケーススタディもあり、インドでは、候補者が支出を自ら認めたもの以外は、選挙費用にカウントされず、実際の費用の五分の一程度しか報告されていない、フィリピンでは、候補者が、選挙の立会人をほぼ無制限に任命することができ、そうした選挙の立会人に500ペソまでを支払うことが認められているため、選挙の立会人の任命という形で、合法的に買収活動が行われている例がある等の事情が報告される。

選挙管理のNGOの活動に関して、特に、海外の組織が海外からの資金で活動することについて、その正当性、つまりどこかの候補者や政党の手先になっていないかどうかをどうやって確認するのか、に関するかなり専門的な議論があった。

農村地帯を中心に(都市ではない、あるいは貧困地帯という意味で)広く行われている買収を見つけ、阻止する、あるいは証拠をつかむにはどうすればよいのかという具体的な意見交換と議論があった。タイで活動しているアメリカのNGOから具体的に、各村ごとに買収を監視するための人員をリクルートし、トレーニングする活動と匿名のたれ込みを受けて調査する活動についての報告が印象的だった。バンコクの学生を二、三年農村に送り、公正な選挙を担保使用とする活動の事例も報告されたが、村人の人脈などがわからず、効果的ではない。それに比べて、村人を監視員にするのは極めて効果があるとのことだが、監視員を務めた人間が、選挙の後で村八分にされないためにどうするか、ということが大きな問題のようだ。昼食時に、この件が引き続き議論になり、お金はもらって、投票は自分が真に良いと思う人に、という教育をすることが早道ではないかというのが、非公式なコンセンサスだった。しかし、その場合、投票の秘密をきちんと保証する事が大切であるがそれがなかなかできていない、その場合は解決策にならないとの指摘がある。

昼食で、ポーランドのワレサ元大統領、インドネシアのワヒド大統領とメガワティ副大統領のようにカリスマはあっても行政的な実務ができないリーダーは、リーダーになった瞬間から、失敗する危険性を秘めているという議論になり、テーブルのみんながこちらを向いて、コイズミもそうではないのか? 彼は閣僚や森内閣を支えていた経験もあり、実務はよくわかっているから心配はないと答えたが、海外のコイズミ評がなんとなくわかった。

ドイツ、アメリカのように、政党が海外の民主主義が遅れている地域で民主主義を根付かせるための組織を日本にも作れないだろうかという投げかけがアメリカから出された。アメリカのこうした組織は、中国で、民主主義を根付かせるための活動を、中国政府の了解のもと、組織的に根気よく実施しているそうだ。村レベルでの村長選挙のやり方などを実地に教育して回っているそうだ。その時に、民主主義といわず、改革とか複数主義とかいろいろ言い換えるけれどと、ウインクしながら教えてくれた。米中政府がもめていても、こうした活動にはほとんど影響がないそうだ。日本の外交にもこうした活動をするNGOが絶対に必要だと力説される。モンゴルの民主化以後最初の大統領選挙では、野党連合に選挙のやり方を教え、野党連合が勝ったりしている。米国外交の深さを改めて思い知る。日本でこうした活動を始めようとしたら、外務省は何というのだろうか。